希望の条件を満たす物件と出会い、お客様が契約の意思表示をしますと、弊社より重要事項の説明を行います。不動産の売買契約に慣れている方はほとんど皆無で、売買物件での重要事項の説明は、一生に一度のことかもしれません。

その時になって初めて重要事項の内容を確認するより、事前に大まかな内容を押さえておくことで、安心して物件の売買契約に臨むことができます。今回は、重要事項説明で実際にどのような内容を説明するのかを紹介いたします。

◆そもそも重要事項説明とは？

不動産業者は売買契約を締結するまでの間に購入者に対して物件に関する重要事項の説明をすることが、宅地建物取引業法により定められています。これは売買契約だけではなく、賃貸借契約や委託契約時も同様です。重要事項説明は、宅地建物取引士の資格を有する者が行います。

内容を大まかに二つに分けますと「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」となり、それぞれの詳細を説明していきます。契約前に確認していた物件情報と異なっていないか、取引条件に購入者の不利益になるような事項がないかなど、しっかりと確認しましょう。

◆重要事項説明のチェックポイントを知ろう！

1)対象物件について

物件の所在地や面積、登記簿に記載されている項目などの説明です。パンフレットやWEBの情報に掲載されている面積、間取り、築年数などと違いはないかを確認しましょう。物件に抵当権などの権利関係が設定されている場合には、それらの権利が抹消される時期が契約書に明記されているかの確認が必要です。

2)法令上の制限について

土地の用途地域や建ぺい率・容積率などの各種法令上の制限について説明します。土地の売買契約の場合には、購入予定の土地に自分が建てようと考えている建物を建てることができるのか確認して下さい。土地と建物の売買契約においても、将来の建替えや増改築の際にどのような制限があるのかを確認することは重要です。また、用途地域を知ることで周辺にどのような建物が建つ可能性があるのかを知ることができます。

3)土地と道路の関係について

土地に接している道路の幅や長さ、私道負担に関する項目の説明です。土地と道路の関係によっては建物をセットバックさせるなどの措置が必要な場合もありますので、特に土地購入の際にはしっかりと確認して下さい。

4)インフラの整備について

水や電気、ガスの供給や排水施設の整備状況、またはその見通しについて説明します。インフラの供給が未整備の場合には、誰がいつまでに整備するのかを確認しましょう。また排水が公共下水道でない場合には、下水処理をどのように行うのか、今後の見通しなどを確認しておきましょう。

5)現状について

土地の形状や建物の構造・仕様に関する説明です。土地の傾斜の有無や道路からの高さを知ることができます。建物が未完成の場合には、完成予定の仕様や設備を説明しますので、事前に受けていた説明と相違がないか確認して下さい。中古物件の場合は、過去に雨漏りや補修箇所があったかなど、建物の現状を確認することができます。

6)契約条件について

手付金や固定資産税等清算金など、物件購入費用の支払い時期や物件購入以外に必要な費用があるかどうかの説明となります。万が一、引渡しができなかった場合に、支払った手付金等が返還されるなどの保全措置の有無や保全方法などを知ることで、安心に契約することができます。

7) 契約不適合責任と供託などの措置について

住宅の基本構造部分に隠れた欠陥（瑕疵）が見つかった場合の契約不適合責任や、瑕疵があり、かつ売主や建築会社が倒産していた場合にどのように契約不適合責任を全うするかなどの措置を説明します。契約不適合責任については、法定責任の範囲と期間を確認しましょう。万が一の場合として、供託金の還付や保険金の支払いについても知っておきましょう。

8)契約の解除について

契約の解除に関する項目を説明します。契約の解除には「手付解除」、「違約解除」、「ローン特約解除」の３種類があり、それぞれどのような場合に契約が解除となるのか、解除時の手付金や違約金の扱いなどを知ることができます。予定していた住宅ローンが組めないことで契約解除となる場合に、手付金が返金される「ローン特約解除」は購入者を守る為の特約事項となりますので、しっかり確認しておきましょう。

◆まとめ

重要事項説明は専門用語が多く、説明する事項も多い為、全体像を把握した上で、ポイントのみを挙げさせていただきました。事前に少しでも内容を理解しておくことで、安心して売買契約に臨むことができます。重要事項説明についてさらに詳しく理解するには、国土交通省が推奨する「重要事項説明・書面交付制度の概要」を参考にすることをお勧めいたします。

気になる点・分からない点などございましたら、弊社スタッフまでお声がけいただき、ご質問ください。