昔から「住居は新築を立てる」といった考えが根付いている日本では、近年の人口減少と合わさって空き家の比率が高まっています。そのため、新築物件を建てるよりも既存の建物を長く使えるようリフォームするケースが増えているのも事実です。

この記事では、老朽化が気になり始めている方へ向けて、戸建ての寿命とはなにか、戸建ての寿命を伸ばすためのポイントについてご紹介します。

戸建ての寿命は建材によって異なる

戸建てやアパートはどうしても経年劣化を迎えてしまいますが、その寿命は使われている建材によって異なります。たとえば、一昔前の一般的な木造住宅は30年前後が戸建てとしての寿命だとされています。

一方で、鉄骨構造の建物は40~60年ほど、鉄筋コンクリート構造の戸建ては40年から90年以上と、建材によって戸建ての寿命は大きく変動する点に注意が必要です。

戸建てが寿命を迎えると変化するポイント

すべての戸建てが一律の寿命を持っているわけではなく、潮風や台風などの立地・環境によって劣化具合は大きく異なります。そのため、それぞれの部位ごとに戸建てが寿命を迎えたときの変化をチェックすることが大切です。

・見た目
外壁が寿命を迎えると、ひび割れたり、外壁が剥がれたりしはじめます。外観の見栄えが悪くなるほか、ひび割れから雨水などが侵食し、腐食する原因になる場合も。そのため、たとえ小さな破損でも早い段階で対処することが大切です。

・機能性
室内に設けられた設備にも寿命があり、15年ほど経過すると水回り設備が不具合を起こす可能性も高まるとされています。また、設備にトラブルがなかったとしても、腐食や取り除けない汚れなどが少しずつ積み重なるのも事実です。戸建てに備わっている設備も、一定期間を経て交換・メンテナンスする必要があります。

・構造
外壁や室内設備は、戸建てそのものの寿命ではありません。適宜メンテナンス・リフォームなどで交換をすれば寿命をリフレッシュさせられますが、建物の構造そのものにも寿命があります。構造の基幹部分に劣化が見られたり、住人の高齢化により建物の間取りを改善する必要があったりと、その事情はさまざまです。

構造部分にまで問題が発生すると大規模なリノベーションが必要となりますが、高齢化に寄る間取りの変化などは助成金によってコストを抑えてリフォームしやすくなっています。

法定耐用年数との違い

戸建ての寿命は、見た目や機能性、構造といった建物としての劣化がほとんどです。一方で、資産価値としての劣化は「法定耐用年数」によってある程度定められています。税務上に定められた資産価値で、いわば税法上で定められた戸建ての寿命です。

耐用年数では、「木造建築/22年」「鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート造(RC造)/47年」と建材ごとに分けられています。

台風が多い沖縄地方では、RC造の戸建て物件が多いため、一般的には47年が法定耐用年数だといえます。建物そのものが大きく劣化していればその分価値は下がってしまいますが、総合的な資産価値としては戸建て(RC造)に47年の寿命があると考えても問題ないでしょう。

戸建ての寿命を延ばすポイント

戸建てがいつか寿命を迎えてしまうのは避けられませんが、日頃から気を配ると建物の寿命を先延ばしにすることができます。老朽化対策として戸建ての寿命を延ばすポイントをご紹介します。

日頃から掃除をする

普段から設備を含めてこまめに掃除をしていれば、戸建ての寿命を大きく長持ちさせられます。基幹部分の故障は防げませんが、設備面を常にキレイにしておけば、汚れがつきにくく不具合が起こりにくくなります。

また、普段から気を配って掃除をすることで、壁のひび割れなどの異常をいち早く発見できるのもメリットのひとつ。修繕すべきポイントに素早く対応するだけで、建物の腐食や劣化を大きく緩和できるのも事実です。

そのため、普段から外回りや水回りの設備を清掃しておくと、設備の故障や外観のひび割れなどにスピーディに対応できます。

シロアリ対策をする

木造住宅を始めとして、建物の寿命を大きく劣化させるのがシロアリです。甚大なシロアリ被害を受けてしまうと、建物に住まう危険性が高まるため、戸建てとしての寿命も大きく減ってしまいます。

床下のシロアリ対策には、数年ごとの目視点検や床下薬剤などの散布が大切です。最低でも5年に1度は問題がないか確認し、必要に応じて業者に対処してもらう必要があります。

定期的な点検をする

普段からどれだけ外観をキレイにしたり、シロアリ対策をしていたりしても、知らない場所から劣化が始まっているケースも少なくありません。普段目につけていない屋根の塗装が劣化していると、そこから屋内が大きく劣化してしまう可能性もあります。

また、定期的に業者へ依頼して、天井近くの雨どいまで確認するのもポイントのひとつ。水の流れが妨げられていると、そこから予想されていなかった箇所に水がたまり、そこから壁の新色が始まる可能性があるのも事実です。

それらを含めて、定期的な点検を行ったり、自分では見られない範囲を専門業者に依頼したりするのも大切です。

戸建ての寿命を延ばしつつ必要に応じてリフォーム・買い替えをしよう

戸建てを始めとした建物はどうしても劣化してしまうため、寿命を延ばすために日頃からの細かいメンテナンスが大切です。しかし、入居している住人の高齢化など、構造自体がミスマッチで「マイホームとしての寿命」を迎えるケースもあります。

そのようなときは、大掛かりなリノベーションをするほか、ほかの中古住宅へ買い替えを検討するのもポイントです。「既存物件の大掛かりなリノベーション」「条件にあう中古物件のリフォーム」にかかる費用感を見比べて、コストパフォーマンスに優れた手法をご一考ください。

弊社では、リフォームを目的とした中古物件探しのサポートも行っています。ぜひお気軽に弊社スタッフまでお声がけください。

オーナー様向け:建物の大規模修繕は計画的に

老朽化した物件をリフォームして不動産運用をしたいと考えても、修繕・対策費用に多額の資金が必要なのも事実です。そのため、大規模修繕をいつすべきか、どうすべきか頭を悩ませていた方も多いのではないでしょうか。

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賃貸住宅修繕共済では、修繕費の総額を掛け金の上限として、毎月50〜100%の間で自由に積立できます。たとえば、10年後に800万円の修繕費用がかかると想定した場合、積み立てられる額は最大で800万円です。

100%支払う場合は1ヶ月あたり約6.6万円、50%なら半分の3.3万円ほどを毎月経費として参入することができます。ただし、あくまで掛け捨て商品であり、積立が目的ではありません。修繕実施時には業者へ直接支払われるほか、途中解約をしても共済掛金が返済されることはありませんのでご注意ください。

弊社では「全国賃貸住宅修繕共済協同組合」に所属しているため、賃貸住宅修繕共済が気になっているオーナー様へ向けて、その仕組みや共済制度の利用方法についてより深くご説明できます。いつでもお気軽にスタッフまでぜひご相談ください。