中古住宅など、近年では「リフォーム」や「リノベーション」といった単語を耳にする機会が増えています。しかし、実際に振り返ってみると「リフォームとリノベーションの違いがわからない」とお悩みの方もいるかもしれません。

なかには、リフォームとリノベーションを同じような意味で使っている方も。しかし、厳密には異なるのも事実です。

この記事では、リフォームとリノベーションの違いとはなにか、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較します。

リフォームとリノベーションの違い

実のところ、リフォームやリノベーションの言葉の境目は曖昧になりつつあります。そのため、明確な線引きと考えがちですが、実際には取り組む作業や規模に応じて使い分けるのが一般的です。

ここでは、リフォームとリノベーションの違いについてご紹介します。

工事の規模が大きいのはリノベーション

一般的に、設備の変更や修繕といった細かい部分の工事は「リフォーム」に分類されます。水回りのシステムキッチンや、ユニットバスの入れ替え、壁紙(クロス)の張替えといった工事は、そこまで大掛かりな作業ではありません。

一方で、排水管・水道管の配置変更、間取りの変更といった大規模改修は「リノベーション」に分類されます。建物の中を一度空にした「フルスケルトン」状態にし、改修する工事も少なくありません。

一般的にリフォームとリノベーションの違いとしては、「小規模はリフォーム、大規模工事はリノベーション」があげられます。

居住空間のグレードをあげるのがリノベーション

リフォームとリノベーションの違いに、居住空間をどのように変えるかといったポイントがあります。一般的に、入居当初のレベル、あるいはそれに近い状態まで改修するのが「リフォーム」です。

一方で、新築以上の性能まで引き上げる工事は「リノベーション」と呼ばれます。居住空間のグレードを大きく向上させられるため、建物そのものの魅力を大きく引き上げられるのがリノベーションだと言えるでしょう。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームとリノベーションの違いを見比べると、一般的に小規模な改修工事がリフォームだといえます。新築当初の状態に戻すリフォームでは、小規模な工事だからこそいくつかのメリットがある一方で、デメリットがあるのも事実です。

ここでは、リフォームを行うメリット・デメリットについてご紹介します。

メリット:施工期間が短くなる

リフォームは設備の交換など表面的な工事が多くなるため、一般的に施工期間が短くなる傾向にあります。たとえば、トイレ交換はわずか1日程度、ユニットバス交換は3日前後で行えます。

どれだけ長いリフォームでも、多くのケースで1ヵ月前後では終了するため、スムーズな再入居が可能です。仮住まいなどが不要になるのもメリットといえます。

メリット:住み慣れた家の雰囲気を残せる

リフォームでは、基本構造を変えることがありません。設備などの改修・修繕をする手法のため、住み慣れた家の雰囲気を残したままにしやすくなります。また、キッチンやユニットバス交換などであれば、既存設備と置き換えるだけのため、完成後のイメージを想像しやすいのもメリットです。

メリット:リノベーションよりもコストが掛かりにくい

リフォームを行うメリットのひとつに、リノベーションよりもコストが安い点があげられます。小規模な工事が多いため、作業費用がリノベーションよりも安くなっています。

デメリット:デザインの自由度が高くない

リフォームは、あくまで新築当初の状態に戻す工事です。そのため、自身のライフスタイルの変化などにあわせて大きく内装を変化させることはありません。既存の設備をベースに考える必要があるため、選択できる自由度がリノベーションに比べると低くなってしまいます。

デメリット:骨組みを変えられない

リフォームでは、建物の骨組みを変更することはできません。そのため間取りなどを変更できず、「子供部屋を増やしたい」「高齢化により動きやすい空間にしたい」といったニーズを満たせる工事がしづらくなっています。

リノベーションのメリット・デメリット

間取りの変化など骨組みを含む大規模工事が一般的なリノベーションでは、さまざまなメリットが得られます。一方で、リフォームと比べていくつかデメリットがあるのも事実です。

ここでは、リノベーションのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット:デザインの自由度が高い

リノベーションは、建物のベース部分から大きく手を入れられます。そのため、間取りはもちろんライフスタイルの変化に応じた住居の作り変えも対応が可能です。デザインの自由度もその分高く、利用者の好みを大きく反映させられます。

メリット:物件の選択肢が多くなる

自分好みの住環境を作り出せるリノベーションを前提にすれば、物件の選択肢が多くなるのもメリットです。好条件の立地にあっても魅力の薄い建物も、リノベーションすれば自分好みの住環境を実現できます。

そのため、リノベーションを前提にすれば、築年数の古い物件も視野に入れやすくなります。

デメリット:費用が高くなる

リノベーションは小規模な改修から大規模な改修まで幅広いため、一概にどちらが高いとはいえません。しかし、一般的にリフォームと比べた場合はリノベーションのほうが費用が高くついてしまいます。リノベーションは自由度が高い反面、さまざまな部分にコストが掛かってしまいます。

デメリット:工事期間が長い

リノベーションは大規模工事が多くなるため、それに比例してリフォームよりも工事期間が長くなってしまいます。ちょっとしたリフォームなら1日で終わるものが多くなっていますが、フルリノベーションを実施する場合は3ヵ月前後掛かるケースが多くなっています。

場合によっては、設計段階を含むとそれ以上の工事期間が掛かってしまう可能性も。フルリノベーション中は住宅に住むことができないため、仮住まいなどを確保するコストも必要になります。

リフォームとリノベーションは似ているが違うもの

リフォームとリノベーションは一見似ていますが、実際にはいくつかの部分で異なる要素があります。そのため、いまお住いの中古住宅を改善しようとお考えの場合は、「リフォーム」「リノベーション」どちらがベストか事前に考慮しておくことが大切です。

「間取りの変更」や「世帯の変化に応じてお家の作りを変える」などの目的があればぜひリノベーションをご検討ください。弊社では専門業者の紹介も行っておりますので、暮らしやすいお家づくりのサポートをいたします。