中古物件のリノベーションの流行とともに、中古戸建ての購入希望者が増加しています。その一方で、「中古の家は震災に強いのか?」や「どのように耐震補強すれば良いのか」という疑問が浮上しています。

地震調査委員会の最新報告によれば、今後30年でマグニチュード7.0~7.5の大地震の発生確率が「与那国島を中心に90%以上」とも警告されています。このリスクを踏まえ、中古戸建ての耐震安全性をしっかりと確認することは欠かせません。

この記事で、中古戸建ての耐震化の現況と、地震への対策方法や耐震補強の要点を明らかにします。

日本の耐震基準と中古物件の実情

日本は地震大国として知られ、そのため建物の耐震性は常に議論の中心にあります。新しい耐震基準は頻繁に見直され、国土交通省も2025年を目処に未耐震の建物を大幅に減少させるような取り組みを進めています。

しかしながら、必要とされる耐震補強を要する中古物件のうち、実際に耐震工事が実施されたのはわずか28%。特に平成12年以前に建設された2階建て以下の木造物件では、9割以上が現行法の耐震基準をクリアしていないという現実があります。

平成25年時点での中古物件の耐震化率は82%とされていますが、これには法改正後に建築された物件も含まれるため、実際には約20%の物件が耐震化対策を受けていない状況です。

中古戸建ての地震対策:「耐震」「免震」「制振」の基礎知識

中古戸建の耐震性能を評価する際、一般的には目視調査である「一般診断法」と、詳細な内部調査を行う「精密診断法」の2つの方法が使用されます。耐震性能自体は、「壁の強度」「壁の配置」「経年劣化の程度」に基づいて判断されると一般的に考えられています。しかし、最近では単なる「耐震」だけでなく、多様な地震対策の構造も重視されるようになっています。

ここで、「耐震」、「免震」、そして「制振」という3つの異なる地震対策構造の特性とその違いについて解説いたします。

耐震構造:地震に強い設計で安全を追求

耐震構造とは、建材の強度や構造を工夫して、建物が地震の力にしっかりと耐えうるよう設計されたものを指します。地震時にはその力が直接建物に影響を及ぼしますが、この構造を採用することで、強い揺れにも負けず安定した状態を保ち、倒壊のリスクを大きく低減させることが可能となります。

現代の建築においては、新築のマンションやアパートには当然のように耐震構造が取り入れられており、国が設定する安全基準を満たすよう、徹底的なチェックが行われています。

免震構造:地震の揺れから建物を守る技術

免震とは、地震の揺れを建物自体に伝えないように、建物と地盤の間に特別な装置や材料を設ける技術です。これにより、地震のエネルギーを大部分吸収または逸らすことで、建物内の揺れを大幅に軽減します。実際の地震発生時にも、免震構造を持つ建物は他の一般的な建物と比べて、明らかに少ない揺れを感じることができます。

近年、高層ビルや公共施設などでの導入が進んでおり、特に大都市の再開発地域での採用が増えています。免震構造は初期投資が必要ですが、長期的には地震によるダメージを軽減する点で非常に価値があると言われています。

制振構造:建物自体の揺れを抑える技術

制振とは、建物自体の揺れを吸収・減少させるための技術です。これは、建物内部や上部に特別な装置や重りを取り付け、地震の際の振動を打ち消すか、または減少させる仕組みです。これにより、地震のエネルギーが建物全体に均等に分散され、大きな揺れやダメージを抑制することができます。

制振技術は特に高層ビルや大型の建築物に有効とされ、地震の影響を最小限に抑えるために用いられています。また、老朽化した建物の耐震補強やリノベーション時にもこの技術が取り入れられることが増えてきました。ただし、制振構造を持つ建物でも完全に揺れを無くすことはできませんので、地震対策としての備えは引き続き必要です。

一方、制振構造の導入にはコストがかかるため、総合的なリスクや予算、建物の用途や規模を考慮して採用する必要があります。特に既存の住宅や中低層の建物に後から制振構造を追加する場合、工事の難易度や費用が高くなることが予想されます。

中古住宅でも耐震対策は可能!耐震リフォームを考えてみませんか?

日本の建築基準法における新しい耐震基準が設けられたのは1981年6月1日。この日以降に建てられた中古住宅は、基本的に新基準を満たしていると言えます。

それでも、「もし地震が起きたらどうなるのか」「専門家に診断してもらいたい」という不安は残るかもしれません。そんな方々には、安心感を高めるための耐震リフォームをおすすめします。

中古住宅の耐震対策にリフォームやリノベーションを!

沖縄では、中古住宅の耐震化だけでなく、台風や強風の影響にも目を向けることが重要です。免震構造には数々の利点がありますが、台風時の強風による建物の揺れのリスクも考慮すべきです。

地震対策と同時に、強風からの被害をも最小限に抑えたい場合、「耐震構造」の強化を取り入れたリフォームを考慮するのが良いでしょう。こうしたリフォームでは、「筋交い」という部材を柱や梁に追加し、建物全体の強度を上げるのです。

これに加え、壁の補強や住宅全体のバランスを取りながら、安全で快適な住空間を目指すのが最適なアプローチとなります。

建材の状態確認は必須

中古住宅の耐震対策に取り組む上で、既存の建材の状態をしっかり確認することが不可欠です。例えば、外壁のひび割れから浸入した雨水で建材が傷んでいる場合や、シロアリ被害で構造が弱まっている可能性も考慮すべきです。

これらの要因を把握し、適切な耐震リフォームを施せば、中古住宅の安全性を一層向上させることができます。

まとめ

国土交通省は2025年を目途に、耐震性を持たない建物の削減を積極的に進めています。それでも、「中古の家は耐震性が心配」という方も少なくないでしょう。

そのような場合、専門家に建物の耐震診断を依頼し、必要に応じて耐震リフォームを行うことがおすすめです。リフォームやリノベーションを通じて、建物の耐震性は大きく改善することが可能です。

中古住宅の購入を検討中の方は、ハザードマップも合わせてチェックしてください。これにより、震災が発生した際の避難ルートや避難所を事前に知ることができ、安心して生活することができます。

浦添市ハザードマップ

宜野湾市ハザードマップ

もし、しっかりと耐震対策が施された中古住宅をお探しの方は、当社スタッフにお問い合わせください。お客様のニーズをしっかりと捉え、理想の物件を見つけるサポートを致します。